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ハンディGPSによる現場の位置調査について

　ここでは僕の持っているハンディな位置測定機、GPS315（マゼラン：Magellan）を例にとって説明します。
　それ以外の測定機は、ほとんど使った事がないので、申し訳ありませんがわかりません。
　なおGPS320は315とほぼ同じらしいので、たぶんここに書いた説明と同じように使うことができるかもしれません。

　なお、小型のハンディGPSの性能比較（GPS315(Magellan)とDG-100(GlobalSat)）については、性能を定性的に比較したページをご参照下さい。

目次

  1. GPS３１５について
    1. 使用にあたって
    2. 問題点
  2. 現地調査
    1. GPS315の持ち方
    2. はじめに行う事（基点の測位）
      1. GPS315単体のみで定点測位を行う方法
      2. 315が受信したデータを解析して定点測位を行う方法
    3. 調査方法（ハンディＧＰＳによる測位調査）
  3. 内部メモリーに蓄積されているデータと、その利用
    1. メモリーされているデータの種類
    2. データをＰＣへ転送する方法
      1. 必要な物
      2. 吸い出しの実際
    3. 転送後のエクセルでの利用（十進法への変換）法
    4. ＰＣからデータをGPS315へ転送する方法

１．GPS315について

１−１．使用にあたって

  1. 初期化前に行う本体の時刻あわせは、結構いい加減（数分ぐらい狂っていても、また数日狂っていても）で良い。
    　初期化が完了した時点で、衛星から受信した正確な日付・時刻になっている。海外で、秒まで含めた正確な時刻を知りたい時は、このGPSの時刻機能を利用する。どこの会社のGPSであっても、最近の機種であれば、時刻は全く同一であるはずだ。揚水試験もこれを利用すると、離れていても正確な観測ができる。
  2. 初期化（initialize）を行う場合には、できるだけ、本体の電源を入れるところから、定位置にて始める。
    　最初に設定した時刻や日付で衛星を探して、これが受信できない場合（例えば初期化を始めた時に室内におり、この時に設定した時刻の衛星が補足できない）、他の衛星配列を探し回る。このためかなり時間がかかってしまう。はじめから定位置で行う。
  3. 測定する測地系はWGS84で行うこと。日本国内もこれに変更された。
    また分解能は1/1,000分単位（dd度mm.mmm分）とすること。現在世界的にこれに統一されつつある。
  4. ファームウエアのアップロードについて。
    1. アップロードに際しての注意
      • ファームウエアのアップロードに失敗すると、全く動かなくなります。リスクは覚悟して行うこと。
      • 注意事項はダウンロードのページに書いてあります。きちんと読んでから行うこと。
    2. あらかじめWaypoints/Routes/Trackpoints のデータを全て315からダウンロードする。データは全て消えてしまいます。
    3. ファームウエアをマゼラン社のサイトからダウンロードする。
      　Product Support/GPS315/Software updateから入手。
    4. アップデート手順は、ダウンロードのページに書いてあります。
    5. ちなみに僕のGPS315は購入時のファームウエアのバージョンが、3.14なので、アップロード（ファームウエアのバージョンアップ）はしたことがありません。
      • ファームウエアは、今使っているバージョンと改善された事項を比較し、自分に関係がない場合は、バージョンアップさせる物ではありません。
      • ファームウエアもプログラムです。すなわちバグがある可能性があります。
      • 今現在きちんと動いているのでしたら、無理をして最新の物にする必要はありません。
  5. その他

２−２．問題点

  1. コンディションが悪い衛星は、測位にあたって自動的に排除されるが、どの様に排除されているのか、わからない。
    　モニタリングできる裏コマンドがあるらしいが、一般には公開されていない。
  2. GPS315は平均値を表示できるようになっているが、これが「くせ者」。
    　一般にこのように多くの計測値が得られるデータはどうやって平均をとるのかご存じだろうか。地質系の人達になじみの多い弾性波探査や電気探査のスタッキングの平均化方法をご存じだろうか。古い機械と新しい機械とで、スタック方法が異なるのだ。実は、GPS３１５は古い方法でスタック・平均化させているのだ。
  3. 日本語の物も英語の物もマニュアルにはWaypointsと書いてあるが、初期設定で陸上を選択すると、GPS315の操作画面では、LANDMARKに変わる。もちろんWaypointの番号もLMKに変わってしまう。マニュアルは全てMarineモードで書かれている（日本語版p.3、英語版p..5参照）ので、ご注意あれ。

２．現地調査（実際の測位方法と留意点）

２−１．GPS315のアンテナ特性と、その持ち方

　GPS315に内蔵されているアンテナは、quadrifilar antenna（日本語ではクワッドアンテナという）というものである。形状としては、円柱状をしている。GPS３１５には上部に飛び出ている部分がある。ここに親指ぐらいの大きさで、このアンテナが内蔵されている。
　quadrifilar antennaは、垂直に立てた時、半球状に指向性（ほぼ無指向と言って良い）を持っている。すなわち、半球状の範囲にある全ての衛星からの受信について、最も利得を稼ぐ事のできる持ち方としては、GPS315を垂直に持つ事がよいと言う事ができる。しかし一般的には、どの様な持ち方であってもあまり変わりはない（受信できなくなるという事はない）。水平よりも、垂直気味に持った方がよいと覚えておき、場面に応じて使っていけばよいだろう。

２−２．はじめに行う事（基点の測位）

　海外などで正確な地図の入手が難しい時に、現地調査の基本図として、衛星画像（写真）を使う方法は、衛星画像利用のページに書いた。そのページとの繰り返しになるが、正確な地図を得にくい地域で、地図代わりに衛星画像を利用する時に重要な事は、画像上で判明している正確な位置（例えば道路の交差点など）を基点として、その場所で、できるだけ正確な測位データをとる事である。
　そこでハンディＧＰＳとはいえ正確に基点測位する方法として、その工夫をいくつか紹介しよう。
　測位の方法は２つある。この２つの方法で用意すべき物が異なる。一つ目は、あまり精度は良くないが、ほとんどお金がかからない方法。２つめは多少精度を高めることができものの、少しお金がかかる方法である。
　一つ目の方法は、GPS３１５単体のみで測位を行う。この方法はとりたてて買わなければならない物はない。
　２つめの方法は、GPS315を単なる電波受信機として扱い、そのデータを解析して、精度の悪い情報を取り除いて、測位を計算させる方法で、これに必要な物は買わなければならない。
　以下詳細を記す。

２−２−１．１つ目の方法（GPS315単体のみで定点測位を行う方法）

　この方法は、測位にあたってできるだけ「電波受信条件を良くする」と言うことににつきる。
　従ってここでは、条件を良くする工夫を紹介する。もちろんこの方法は、下記に示すその２の方法を用いる際にも通ずるものであるので、一読しておくことを薦める。

  1. 周辺に障害物のない場所を選定する
    　当たり前の事ですな。でもバングラデシュなどのルーラル地域で、僕たちが立ち止まって小さな機械をのぞき込んでいると、周りにすぐ２・３０人の人達が集まってくる。もちろんこの人達も、立派な障害物だ。
    　彼らを上手に避けて、良い電波環境で受信しよう。
  2. 衛星の配置から、障害となる地形を避ける
    　衛星の配置上、どうしても測位が困難な場合がある。極端な例で言えば、衛星が南に偏って分布していた場合、北斜面では
    　＜執筆中断中＞
    　これを避けるには、衛星配置を常に確認することである。衛星配置は、GPS315でも確認できるし、下記の５で紹介するソフトでも確認できる。
  3. 電離層の影響を避ける
    　ＧＰＳの電波は、電離層を通過する事で、早くなったり遅くなったりする。このため電離層が強く発生している日の測位データは、極端に悪い。これは私の経験上からも言える事で、うろこ雲がある時の測位データは、全く安定しない。うろこ雲は強く電離層（正確にはＥ層）が発生している時に特徴的に発生する現象であり、バングラデシュ（木や建物などの障害物もなく、送電線などの電気的障害物も一切無い）でも、この雲が出ている時は、GPSの測位データが全く安定せず、使い物にならない。
    　うろこ雲以外で、電離層の強弱を判定できる方法は、残念ながらほとんど研究されていないため、できないのが実情である。しかし電離層の影響を避けるため、少なくとも「うろこ雲が発生している時間」は、基点の測位を行う事を避けるべきだろう。
    　私の何となくの印象であるが、非常に気温が高く、厚く雲が低く覆い被さるようにみられる気象の気は、GPSの測位が安定しないように感じている。
    　とはいえ、うろこ雲はあっという間に発生する。現場では、臨機応変に対応できるように、あらかじめ考えておくのがベスト。
  4. 太陽の黒点活動について
    　太陽の活動により、GSPの測位がうまくいかないことがある。残念ながら太陽活動の補正はできないし、リアルタイムの観測もできない。これはあきらめるしかない。
    　と、思っていたら実はリアルタイムに太陽活動を見ることができるフリーソフトウエアがあることがわかったので、ここに紹介しておこう。もちろん補正ができないことに変わりはないが、黒点を測位時にリアルタイムに見ることができるのは、安心材料となるだろう。
    　ソフトの名前は「SWB(Solar Weather Browser)」という。作ったのはthe Royal Observatory of Belgium（ベルギー王立天文台）だ。
    　なお黒点の活動はインターネットで公開されている（Sunspot data(by SIDC)）ため、事後になるが、精度が悪いと推定できる時刻で観測されたデータとして、測位データを取り扱うことができる。
  5. 衛星の軌跡を把握し、誤差が多いと予想できる時間を避ける
    　衛星軌道から、測位データの誤差を予測するソフトを利用する。下図参照。
    　測位は各衛星からの距離（正確には時間）で行われている。従って、衛星は上空で分散している状態であれば、良いデータとして考えることが可能である。逆に集中して配置していれば、悪いデータとして考えられる。これらを数値化した物がDOPである。
    　DOPにはいくつかの種類があり、水平および垂直のDOPについては、次の関係がある。低い仰角で、衛星が異なる方角に分散していれば、HDOP値は低く（良く）なるが、VDOP値は高く（悪く）なる。これは自分を基点として、いずれの衛星も水平（地平線に近い）位置に配置されているためで、垂直成分に誤差が大きくことによる。逆に天頂に衛星が配置していた場合、HDOP値は高く（悪く）なるが、VDOP値は低く（良く）なる。これは自分を基点として、衛星配置が頭上に配置しているためで、垂直成分は良いデータと考えられるが、水平成分は誤差が大きくなる。これら２つの状態は、実際に絵を描いてみるとわかりやすい。
    　目安として、DOPが３以下の時は、良好なデータの精度と考えることができ、３〜７では、許容できる範囲、７以上は悪い精度と考えることができる。

Dilution of Precision (DOP) charts
Dilution of Precision (DOP) charts
調査前に、このような時間帯は避けるように確認し、計画する

　こういった注意を行っていても、100m以上もずれる事が実際におきる。このため、できるだけ日にちを変えて、数回に分けて行うように、心がけておく事が大切である。またGPS３１５に自動記録されるトラックデータをできるだけ多く利用し、これらのデータから誤差を推定することも行うと良い。

２−２−２．２つ目の方法（315が受信したデータを解析して定点測位を行う方法）

　簡単に言えば、GPS315を単なる受信機として扱い、受信データをパソコンに取り込み、測位をパソコンで解析する方法である。簡単に言えば、DOPが悪いデータを除外して、良いデータのみから平均値を出して、真に近いデータを得ようとする方法である。
　GPS315はNMEAフォーマットで、シリアルを通じてリアルタイムにデータロガー（ＰＣなど）に取り込むことができる。このデータを使って解析する。従って、リアルタイムであればＰＣが、後解析であればデータロガーが必要となる。
　最近の232Cデータロガーは、たばこ箱位の大きさで、もちろん電池駆動で、非常に使いやすい物が多く出ている。価格も数万円とかなり安くなっている。これならば海外の現場でも、容易に持ち運びができる。なお後解析を行う場合、下に紹介する各プログラムの使用方法については、私はわからないので、各プログラムのヘルプファイルなどを参照されたい。場合によってはデータのフォーマット変換などが必要となるかもしれない。
　もちろんであるが、下記の解析ソフトで平均化された測位点と、GPS315の測位点では、大きく異なっている。

  1. 定点測位解析ソフト。リアルタイムでも、後からの解析も可能。いずれもフリーで利用可能。
  2. モニタリングソフト。DOPは表示されるのみ。フリーで利用可能。

　解析ソフトは、今のところフリーで使える物は、この２つしか見つけていません。
　どちらが良いかと聞かれれば、完全に定点で測定を行うならば、VisualGPSを、移動しながら定点を観測するのであれば、NMEAgentを、というところでしょうか。といっても、それほど違いはないと思うので、お好きな方をお使いになるのが良いのではないでしょうか。
　この他に良いソフトがあったら、私までメールをいただけますでしょうか。

　いずれのソフトを利用する場合も、GPS315での設定を、NMEA-V2.1GSAにすること。
　接続に必要な機器類などは、このページの３−２を参照のこと。　

２−３．調査方法（ハンディＧＰＳによる測位調査）

　僕のGPSによる位置調査は、ポイント（点）情報と、線（面）情報とで、２つの調査に分けて行っています。

１）点の測位

　厳密な測位は、上記の基点の測位を参照して下さい。

　点の調査は、井戸の位置を測位する時などで、立ち止まって測位します。
　この時、無理して、井戸のそばに立つ必要はありません。あくまでもGPSにとって有効な位置で測位させ、その測位点から、クリノコンパスと歩測で目的点を出します。とは言っても、ハンディＧＰＳ程度では、そこまで必要ない場合も多いのです。ではどうやれば、必要の有無（測位したい目的点と、GPS測位点との距離を、どれくらいまで離して良いか）を把握できるでしょうか。

　これは利用する地図の縮尺によって決まります。

２）線（面）の測位

　簡単に言えば、Waypointを多数マーク（記憶）させていき、これを面として利用する方法です。

　GPS315でWaypointを記憶させる方法は、MARKボタンを２回押すだけです。１回押すと記憶させる画面が出てきます。このままで良ければ、さらにもう一回MARKボタンを押します。

　面観測を行う場合、スタートポイントやエンドポイントの書き込みは、必ずCRATE MESSAGEに行わなければなりません。これはWPTやLMK番号を変えてしまうと、記憶させた順番がわからなくなってしまう（注１）ためです。

　注１）GPS315はWaypointを記憶させた時刻のダウンロードができません。このため後で紹介するMWEというダウンロードソフトでは、Waypointをアルファベット順にソートしてしまうのです。既定通り（315の初期設定のまま）の番号で記憶させていけば、順番が狂わず、安心です。

　また面観測のスタートと同時に、トラックヒストリも必要な距離に応じて自動記憶させると、さらに安心です。

　トラックヒストリの設定は、Plot画面でSETUPを押すと出てきます。僕は面調査の起点でこれをONにして、終点でOFFにしています。

３）まとめ

　以上のようにして測位した結果は、Waypointsとして315のメモリーにため込まれます。実際のデータの利用は下の図のようになります。

　また、図化は、データをＰＣに転送して、Excelで十進法に直して、Surferで衛星写真に重ねて、行っています。なお衛星写真への重ね合わせについては、衛星画像利用のページに書いています。

・赤字で書いてある番号が、６番目と７番目の面測定のスタート地点（Ｓ）と終わりの地点（Ｅ）。この赤字は、GPS315のCRATE MESSAGEに書き込んだもの。これらの点データが数百点あっても、基本的なルールさえ守っていれば、非常に簡単に作業できる。
・スタートとエンドポイントは、現地では同じ位置で測位しているが、多少ずれてしまっている。
・Surferで点を読み込ませた後、ポリゴンで各点を自分で書いていくことで、面としてのデータになる。写真などを重ねて、より正確に面化して行くのも良い方法。
・Surferでは「PostMap」の各ポイントさえ消してしまえば、ポリゴンの面情報しか残らないため、非常に使いやすい。また各点は緯度経度のデータなので、面も緯度経度で扱うことができる。

３．内部メモリーに蓄積されているデータと、その利用

３−１．メモリーされているデータの種類

　GPS315に記憶されるデータには以下の３種類があります。これらはPCにダウンロードできますし、GPS315上で、自分で編集することもできます。

  1. Waypoints(Landmark)
    　自分で任意の位置をマークしていくもので、記憶させたい位置で[MARK]ボタンを２回押して、GPS315本体のメモリーに記憶させるものです。USER記憶領域に500ポイント記憶できます。
    　下記に紹介するMWEというデータ吸い出しソフトは、[EDIT LMK]でのアイコンの形状（Plot画面に表示される）についても、番号でダウンロードできますので、アイコンも臨機応変に使い分けておくと便利です。
  2. Routes
    　[GOTO]や[Man Over Board][Backtrack][Multi-Leg]を使った目的地までの軌跡が記憶されるもの。
  3. Trackpoints
    　距離に応じて軌跡（自分の位置）が自動的に記憶される物で、WaypointsのUSER記憶領域以外の専用記憶領域に1,000ポイントの位置が記憶されます。1000以上の新しいデータは、古いデータから消去されます。
    　プロットスクリーンのナビ画面で[MENU][TRACK HIST]で、機能をOFFないし、AUTO, 0.01km, 0.1km, 0.2km, 0.5km, 1.0km, 2.0km（もしくは工場出荷初期設定の状態では、1,2,5,10minutes）に設定できます。なお工場出荷時の設定ではAUTOになっており、自動的ため込まれています。残念ながらAutoはどの様にデータを記憶していくのかはわかりません。
    　GPS315を使用中であれば、どのナビ画面であっても、この機能は自動的に動いています。
    　この機能を動かしておけば、仮にMARKし忘れたとしても、場所の推定が可能となります。

　自動的に記録されてきたTrackPointsを使って、地形図を作り、これを衛星画像に重ねて、立体衛星画像を作成しました。約500ポイントで造っています。いかがでしょうか。

３−２．データをＰＣへ転送する方法

　GPS315のメモリーに蓄えられたWaypoints/Routes/Trackpoints のデータをパソコンへ転送（データを吸い出す）方法を紹介します。
　ＮＭＥＡによるリアルタイムのモニタリングデータも同じハードウエアが必要です。ソフトウエアは、基点測位の章をご覧下さい。

１）必要な物

  1. コネクションケーブル
    　マゼランでは純正の物を２種類販売しています。一つは車のナビゲート用に、車のシガレットソケットからGPSへ電源を供給できるコネクタの付いた物と、もう一つは単にパソコンとGPS315とを結ぶだけの物です。しかし後者は、PCの232C用コネクタが付属しておらず、単にケーブルがむき出しになっています。
    　なおこのケーブルの自作はできません。GPS315側の接続のコネクタが特殊形状なのです。
  2. 吸い出し（ダウンロード、通信）ソフト
    　吸い出しソフトは、フリーのものが２つあります。一つは、Datasaveというマゼラン社が作ったものです。以前はマゼラン社のサイトで公開されていましたが、現在は公開されていません。しかしMagellan DataSave GPS Softwareというサイトで入手できます。なお正規ユーザーの場合は、マゼランシステムズジャパンで配布してくれるようです。二つ目はMagellan Waypoint　Editorです。こちらはDatasaveよりも高機能なことから、世界中で標準的に使われています。このソフトはMagWayから入手できます。
    　マゼランで公認している吸い出しソフトは、DataTrakというものです。もちろん販売されている物です。開発はSNSIという会社で、このサイトでアップデートも行っています。このソフトは自分で取り込んだ任意の図面とGPSをリンクして、カーナビのようにも使うことができるソフトです。この会社では、DataTrakに付加を高めて高機能にした別の異なるソフトも販売されています。
    　以上で紹介したソフトを使わなくても、もちろん普通の通信ソフトでも十分です。Windowsに標準添付されている通信ソフトでも、ダウンロードできます。通信規格は全くの標準の4800,N,8,1です。
    　この他にもEasyGPSというWindos/Macに対応したフリーのソフトもある。こちらはコマーシャルソフトのよう（正確には知らない）なので僕は使っていない。
    　またデータをダウンロードでき、しかも地図上に表示できるソフトとしてはGPS Utilityというシェアウエアがあります。登録をしない場合、100 waypoints, 500 trackpoints, 5 routesに制限されますが、この状態で良ければ、フリーで使えます。なおタイにあるGPS315の通販サイトでは、カタログと一緒に市販されているこのソフトがダウンロードできるようになっています。もちろん違法です。
    　３Ｄの地形図上に表示できるものとしては３ＤＥＭがあります。日本国内ならばカシミール３Ｄがあります。ただしこれらのソフトは、立体地形作成（表示）ソフトに、ＧＰＳのルートを表示できるように進化していった物で、ＧＰＳのハンドリングはおまけと考えた方が良いでしょう。特にカシミールは、ユーザーインターフェースが特殊で、海外での利用にはあまりお薦めできません。
  3. 必要であれば２３２Ｃコネクタ
    　海外のOn-siteでGPSを利用するため、僕はノートＰＣを使っています。しかしこのPCには232Cのコネクタがありません。そこでUSB to 232Cケーブルで接続します。ケーブルはIO-Data社のUSB-RSAQ2を使っています。Windows2000で使えるものが、これしかなかったので、これを使っています。単に通信しかしませんので、たぶんどこのメーカー（怪しい発展途上国製のものでも）大丈夫でしょう。
接続機器類 232C接続部とコネクタ
パソコンに取り込むための機器類 GPS315の232Cコネクター
左からGPS315,Connection Cable,
USB to RS232C Cable		 自分で作ることができないのが難点

２）吸い出し（正確にはコピーする）の実際

　GPS315中のメモリーに蓄積されたデータを、ＰＣにコピーする方法です。これを実行しても、GPS315のデータは消えません。

　絶対に行ってはならないこと。

　通信は、4800bps以外はうまくいかない。ケーブル接続のシリアル通信で4,800bpsじゃ遅すぎると思うが、なぜかこの速度より早くできない。315に外部電源を使って接続すると、もっと速い速度で接続できるとの事だが、試したことはない。

��Datasaveを使った吸い出し方法
  1. ケーブル類を接続する
  2. GPS315を立ち上げ　MENU/SETUP/NMEAでNMEAをOFFにして、同じ階層のBAUD RATEで4800BAUDに設定する
  3. Datasaveを起動させ、GPS/Comm settingで接続しているCOMポートを設定する
  4. TransferWPTS/Routesをクリックすると、自動的にダウンロードが始まる。この時GPS315の画面は通信中の画面に切り替わる。
  5. データ転送が終了すると、GPS315も自動的に転送モードを終了する。

　と、まあ簡単なのですが、僕の環境では、これがまともに動きません。
　Visual C++のRuntimeモジュールが僕のWin2kとうまく合わなくて、エラーが出て止まります。英語と日本語のモジュールの差なのかもしれません。
　そのうち調べて解決しようと思っています。どなたかもしご存じでしたら、教えて下さい。

　まともに動かないので詳しく調べてませんが、DatasaveはTrackpointsをダウンロードできないかもしれません。

��Magellan Waypoint Editorを使った吸い出し方法
  1. GPS本体とPCを接続し、GPS315もDatasaveの時と同様に4800bpsに設定する。
  2. またGPS315のＮＭＥＡの出力を必ずOFFにしておく。
  3. MWEを起動し、レンチマークのアイコンのセットアップから、使用するCOMポートと通信速度を選びます。
  4. 信号アイコンのコネクトをクリックします。コネクションが成立すると、信号が赤から青に変わります。この時、GPS315の画面は何の変化もありません。
  5. Waypoints/Route/Trackのタブを選び、下矢印アイコンのゲットをクリック。これでダウンロードが始まります。
  6. データのダウンロードが終了したら、信号アイコンをクリックしてDisconnectにすることを忘れずに。

　僕はDatasaveが動かないので、いつもこっちを使っています。標準テキストファイルですので、エクセルに読み込ませて、使っています。
　このMWEは以下のデータが、カンマ区切りの標準テキストファイルの一覧表で保存できます。

３−３．転送（ダウンロード）後のエクセルでの利用法(十進法への変換方法)

MWEでWaypointsをダウンロードすると、以下のようなテキストファイルデータが作られます。

Datum,WGS84,WGS84

WP,DM,LMK001, 34.35611, 135.30326,01/23/2003,13:17:37,START ,a,0000036M

WP,DM,LMK002, 34.35676, 135.30329,01/23/2003,13:17:37, ,a,0000005M

....

これをエクセルで読み込んで、必要な部分だけにすると

Point No. Latitude Longitude Description Mark※ Altitude
LMK001 34.35611 135.30326 START a 0000036M
LMK002 34.35676 135.30329 　 a 0000005M
※Mark：GPS315で記録させたWaypointsのアイコン種別

僕はこれらのデータをSurferで利用するため、十進法の直交座標に直す必要があります。

北緯東経を、度の十進法に変換します。ダウンロードしたこのデータは、整数部が「度」、小数点が「1/1,000分」です。
ここではLatitudeのみ書きますが、Longitudeでも同じです。

A B C D
表示 Degree Minute Decimal Degrees
Excel計算式 表示 Excel計算式 表示 Excel計算式 表示
1 34.35611 =TRUNC(A1) 34 =(A1-TRUNC(A1))*100 35.611 =B1+(C1/60) 34.59352
2 34.35676 =TRUNC(A2) 34 =(A1-TRUNC(A2))*100 35.676 =B2+(C2/60) 34.5946

これで直交座標として扱うことができます。
もちろん計算式は一つのセルにまとめて書いてもOKです。

標高については

これで末尾のM(メートル)が切られて、数値として扱われます。
もちろんWPTやLMKの記号をとりたい時も、この関数でとることができます。

参考：SUBSTITUTEは、ある文字列（上記の例ではA1セル）を検索して置換する。上記の場合は置換文字を指定しないので、単に切り取るように作用する。なおこの関数は、アルファベットの大文字小文字全角半角を区別する。この他にREPLACEがあるが、こちらは文字列の位置を指定する。

３−４．ＰＣからGPS315へデータを転送（アップロード）する方法

　目標物があまり明確でない地点へ再度行きたい時には、[GOTO]機能を使うと便利でしょう。
　しかしGPS315からデータを消去しまった場合、どの様にすればよいでしょうか。

　答えは簡単です。一つや二つでしたら、315自身を使って手入力もできますが、数が多い場合、MWEを使います。ただしこの場合、若干の注意が必要です。

  1. 測地系をWGS84に統一（GPS315とMWEとで）すること
  2. 測定分解能（dd.mmm）を統一すること
  3. ５００ポイントを超えないこと

　Waypointのアイコンやメッセージ（Description）も編集できますので、希望に合わせて行うと良いでしょう。

　またフリーで公開されているGNSを使えば、世界中のほぼ全ての国の正確なランドマークをGPS315に入れることができます。

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