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アジア地域で調査に使う地図はどうする?

−地図入手の困難な地域での、衛星写真の入手と具体的な利用方法−

このページの目次

  1. 衛星画像の紹介
  2. 衛星写真の検索方法
  3. ふよう1号(Jers-1)のデータ(VNIR)をAdobe PhotoShopで利用、画像表示させる方法
  4. IRSのPANデータ(白黒)をAdobe PhotoShopで利用、画像表示させる方法
  5. ハンディーGPSの緯度経度情報を、衛星写真に重ねる方法

文中に★印がありますが、これはまだ書いている途中です。


衛星画像の紹介

 初めての地域へ調査へ行くときに持っていく地図としては、誰もがTactical Pilotage Chart(略称TPC)を利用されていると思います。この地図には以下のような特徴があり、非常に便利です。

  1. 全陸地ではないが、1/50,000の縮尺でほぼ全てが網羅されている
  2. 緯度経度をはっきり読みとることができる(1度ごとのメッシュが入っている)
  3. 大きな目標(飛行場や送電線や道路)が掲載されている
  4. 地形がコンターで書いてある

 しかしこのTPCは元となる情報が古く(印刷は最近ですが)、僕の経験(中国内蒙古とバングラデシュ西部)では、地図上の道と実際の道が異なっていたり、送電線があったりなかったりで、地図として不安な事があります。
 それでも書かれている地形情報は非常にありがたく、現地では、この地形情報に地図上の緯度経度を加えて調査の基礎情報とし、ハンディーGPSを使うことによって大まかな全体像が見えてきます。
 このように現地を大まかに確認する程度でしたらこのTPCでも十分かもしれませんが、より詳細な調査へと進めて行くには、不十分な点が出てきます。調査にあたって比較的新しい面情報(道路や大きな構造物など)があれば便利ですし、地形情報も欲しくなります。しかしいくつかの発展途上国では、このような地図の入手が難しいのも事実です。
 そこでTPC以外の地図情報として、ちょっと高価ですが、入手しやすい衛星画像の情報と、その入手方法、そして利用方法を紹介します。

 僕の紹介する、すなわち欲しい地図情報(衛星写真)は以下のようなものです。

  1. 空から、自分の肉眼で見たような写真であること(この段階まで画像処理済みのデータとして受け取りたい、また私は特に赤外線とか難しい処理は一切しない)
  2. 自分で歩いていて、自分の位置が確認できるようなものであること(解像度が高いほ良く、できればハンディーGPSにて位置確認ができる地図として使いたい)
  3. この画像から若干の地形解析もしたい
  4. さらに購入費用が安ければ言うことなし

 アジア地域で上記のような条件にあう衛星画像で、比較的簡単に利用できるものには以下のような衛星があります。
 なお下の表に書いた内容は、あくまでも、私の希望する上記4か条を満たす視点でまとめたものです。画像を撮ってくる衛星はほかにもたくさん飛んでいます。

衛星名 地上解像度
(画像1dotの面積)
1枚の撮影範囲 おおよその値段(200年)
私の希望する画像内容としてデータ処理をしてもらった値段
(CD-R)
撮影時期 私の希望する写真における
注意・留意事項
地球資源衛星「ふよう1号
(Japan Earth Resource Satellite-1)
NASDA-JERS1のページ
カラー
(VNIRやOPSともいう)
18m 75x75km 2,600円 1992〜1998年  現在はもう飛んでいない。アーカイブデータをコピー配布しているのみ。日本の衛星なので、アジア地域のみ?
 3種類のバンドデータ画像をAdobe PhotoShopなどを使って自分で合成する。この場合、単なる画像なので、緯度経度などの位置情報は利用できない。
IRS
(Indian Remote Sensing)
IndianSpaceResearchOrgnisation
白黒
(PAN(Panchromatic Sensor)ともいう)
5.4m 70x70km 34万円くらい  1Cと1Dと2種類の衛星が飛んでいるが、ほぼ同じ。
 カラーについては調べていません(ふようが安いものですから)
カラー
(LISS-3(Linear Imaging Self Scaning Sensor)ともいう)
23m 140x140km
IKONOS カラー 1m 幅11.3km、長さは自由長? 合計して100万円くらい(高いので詳しくは調べていません) 1999年〜  撮影をはじめてから日が浅いので、まだ撮影の行われていない地域が多い。世界的に問題となっている地域は撮影されることが多い。
 一枚あたりの値段は安い。しかし周辺も含めた複数枚を買わなければならず(ミニマムチャージ)、欲しい対象範囲がせまい場合にはかなり高額になる。
QuickBird
DigitalGlobe社のサイト
白黒 約0.6〜0.7m 幅16.5km、長さは自由長? 合計して100万円以上(高いので詳しくは調べていません) 2002年〜 高いので詳しくは調べていません
カラー 2m
SPOT
(Satellite Pour I'observation de la Terre)
Spot Image Corp
白黒 10m 60x60km 1986年〜1998年(カラー白黒両方あり)
 :16万円くらい
1986年〜現在  撮影した年により値段が異なる。(古いものは安い)
 カラーと白黒は、それぞれ別料金。
 カラーの地上解像度を「ふよう」と比較すると、どうしても「ふよう」の方が安く見えてしまうので、詳細は調べていません。
 白黒はIRSの方が地上解像度がよく範囲も広いので、詳細は調べていません。
カラー 20m 1999以降(カラー白黒両方あり)
 :32万円くらい
LANDSAT
(Land Satellite)
LANDSAT-7のページ
白黒(7号につんでいる) 15m 170x185km 7号(カラーと白黒両方込みの値段で)
 :10万円くらい
7号
1999年〜
 地上解像度を、白黒にしてもカラーにしても「ふよう」と比較すると、どうしても「ふよう」の方が安く見えてしまうので、詳細は調べていません。
カラー(4,5,7号につんでいる) 30m 4,5号(カラーのみ)
 :7万円くらい
4号:1982〜2001
5号:1984年〜

 こうしてみると、まず値段勝負で「ふよう(JERS-1)」が決まりです。なにせ75kmの範囲を2,600円で買えるのですから。超激安だと思います。しかし地上解像度が悪く、ハンディーGPSを使っての基礎地図として使うには、ちょっと難しいのかなと思います。(もちろん大まかな調査地域の地形を観察するのには、かなり役立ちますよ。)
 次に欲しい写真としては、解像度とお金を考えると、IRSの白黒が欲しくなりますね。
 そして最後には(お金があれば)、やっぱりイコノスでしょう。一度イコノスを見てしまうと、ほかの衛星画像には戻れない?なんて話もありますが。

 これらの衛星画像を比較できるように、JERS-1とIRSのデータをPhotoshopで開き、同じ対象範囲を切り出してTIFFに変換した画像データを、ZIPで圧縮したものをダウンロードできるようにしました。
 イコノスは高くて買えないので、僕は持っていません。当然下記サンプルにも入っていません。

->DOWN LOAD
JERS-1 and IRS Image sample data (TIFF Format)
ZIP compressed file (about 300kb)

 これらの衛星画像が、欲しい地域で、欲しい時期に、撮影されているかを調べる必要があります。これにはインターネットを使います。そしてもし欲しい画像があれば、それを注文します。
 CD-ROM(実際はCD-Rに焼いて送られてくる)が届いて、画像をパソコンで開いて処理し、必要な箇所を拡大して、利用ということになります。

 CD-ROMで購入する時に必要な点は、パソコンで利用できる形式(データフォーマット)で注文しなければなりません。そして自分で簡単な画像処理をしなければなりません。それにはAdobe PhotoShopを使います。他のソフトでもできるのかもしれませんが、よくわかりません。下記に「ふよう」と「IRS」のデータでのPhotoShopを使った処理の仕方を書いておきますので、参考にしてください。

 なお衛星画像データ処理用の高級なソフト(百万円以上するらしいが詳細は不明)を購入すれば、高度な画像処理や画像補正ができたり、パソコンの画像上で位置情報(緯度経度)などとGPSとがリンクできたり大変便利らしいのです。しかし僕にはこのようなソフトを買うお金がないので、ここでは「ふよう」と「IRS」の衛星画像をTIFF等のイメージデータへ変換する方法として、PhotoShopを使った例を紹介します。
 TIFF等のイメージデータに変換できれば、あとはSurfer等で簡単にGPSの位置情報を加えた地図としての可視化ができます。


衛星写真の検索方法

 インターネットを使って検索します。国内のどこの代理店を利用したとしても、その方たちも下記に紹介する同じインターネットのサイトで検索しています。
 自分で必要とする地域を検索して、その地域で撮影されている写真の日時を一覧させます。そして、撮影時間は昼か夜か、画像全体の雲量、以上2つを確認して、その画像のサムネール(小さくさせた画像)を表示させます。次に、自分で目視しながら、ほしい地域での雲の有無(カバーされていないか)を確認します。希望する画像があった場合には、画像番号や撮影日時などを記載して、注文を行います。
 下記2で説明するIRSとイコノスについては、検索用のソフトとしてJAVAアプレット(約7MB)をダウンロードしなければならず、しかもサーバーのレスポンスが極端に悪い(数分待たされる)事が多いことから、できるだけ常時接続環境でのご利用をお薦めします。

1)ふよう1号

 ★

2)IRSとイコノス:同じ会社の取り扱いになりますので、同じ検索ソフト上で、画像検索ができます。

 ★


ふよう1号(Jers-1)のデータ(VNIR)をAdobe PhotoShopで利用、画像表示させる方法

 以下は僕の手元にあるWindows Photoshop Ver6での操作方法です。
 これ以外のバージョンやMacについては、僕は全くわかりません。

  1. PhotoShopをたちあげる。
  2. 「ファイル」から「指定形式で開く」を選択。
  3. 「汎用フォーマットオプション」の画面になる。
  4. 同様にBand2(IMOP_02.dat),Band3(IMOP_03.dat)を開く。
  5. 次にこれら3枚の画像を合成する。
  6. 「チャンネルの統合」はデフォルトでは、画像表示モードがマルチチャンネルになっていますので、これを「RGBカラー」に変更する。
  7. 以上で、基本的にはナチュラルカラーの画像が出来上がります。
    なお3枚の各画像(バンド)の特徴から、それらを強く表現した画像を作製することで、自分でも若干の画像解析をすることが可能。
  8. 一度チャンネル統合を行った後で、別のRGBセットに変更する場合は、再び、上記5の「小さな右方向への矢印(黒三角)」で、「チャンネルの分割」を行う。これにより各バンドごとの画像に戻る。
    注意:ただしこのとき、ファイル名が自動で変わってしまうので、分割を行う前に、どの色にどのBandを組み合わせたかを控えておくこと。

以上の参考文献:財団法人リモート・センシング技術センター 利用推進部 岡本さんの手記

なお衛星やその画像についての概要は、以下の報告書がわかりやすいので一読をお薦めします。

重点研究支援協力員研究成果報告書 地球環境変動把握のための森林モニタリング基礎研究
「地球観測衛星の概要」平成8年4月25日
三塚直樹  (MITUZUKA Naoki)
 農林水産省森林総合研究所 企画調整部海外森林環境変動研究チーム 重点研究支援協力員

 上記に書いたくらいの画像処理は、ノートパソコンでも十分にできます。実際に僕は、自分のノートパソコンでやっています。
 一応僕のノートパソコンのスペックを書いていきます。
 2001年4月に買った、NECのB5サイズノート(LavieM)です。
 外部ディスプレーも使っていません。(マウスは買って使っているけど)

  1. CPU : Pentium3 750MHz
  2. Memory : 192MB
  3. HDD : 20 GB
  4. OS : Windows ME

IRSのPANデータ(白黒)をAdobe PhotoShopで利用、画像表示させる方法

 基本的な処理方法は、上記のカラーと同じです。
 ただし白黒画像データですので、コントラストの調整が必要です。

コントラストの調整方法

  1. Photoshopを立ち上げる
  2. 画像を読み込む
  3. ツールバー「イメージ」−「色調補正」−「レベル補正」で、レベル補正のウインドウが立ち上がります。
  4. まずはこのウインドウ中の右下の「プレビュー」にチェックマークが入っていることを確認して下さい。もし入っていなければ、チェックを入れて下さい。
  5. 次にこのウインドウ(レベル補正)で、チャンネルという文字の下に、入力レベル数値を入力する3つの小ウインドウがあり、さらにその下に、このウインドウ中で最も大きいグラフが表示されています。またそのグラフ直下にある3つの小さな上向き三角(左は黒色、中央は灰色、右は白色)があることを確認して下さい。
    グラフとプレビュー画像の2つを見ながら、3つの三角形を調製(左右に動かす)して、レベル調製を行います。

ハンディーGPSの緯度経度情報を、衛星写真に重ねる方法

 現地にて、衛星写真上での基点になる点を、調査範囲を囲うように、少なくとも3点以上、ハンディーGPSにて測定する。その緯度経度を十進法になおして、直交座標による「測定点」の分布図を作成。衛星写真に重ねる。

 まずハンディーGPSの測地系とデータ表示方法を以下に合わせる。

 そして、衛星写真で確認できる基点となりうる場所(道路の交差点、池や川などの変曲点)にて、ハンディーGPSを使って緯度経度を測定します。
 次にこのデータを10進法になおします。

 1/10,000分単位による計測データの10進法への直し方

 この十進法に直した位置データ(測点)を、直行グラフに散布図として書かせ、この直行散布グラフを先の衛星画像と重ね合わせます。

 実際には、衛星写真のデータと、ハンディーGPSによる直交座標とは、東西南北が微妙にずれてしまいます。これにはいくつかの原因が考えられます。しかし、今必要なのは、地図として利用することですので、ずれることの原因を考えるよりも、衛星写真またはハンディーGPSによる直交グラフのどちらかを「回転」させて、かつ縮尺を任意に合わせて、基点を重ねる図面を作ります。

 最近では、地図上に重ねた複数のGPS測位データから、地図を変形させる(データに合わせて地図をゆがめる)そふとも販売されています。もともとは測地系の差と、地図表示の差とを埋め合わせるソフトでしたが、それが一歩進んだ物です。
 上にも書いたように、衛星画像はどうしてもゆがみがあります。特にハンディGPSの基図として扱うほど拡大した場合には、必ずと言っていいほど「ゆがみ」があります。これを補正するため一般的なGISのソフトでは、衛星画像はそのまま(ゆがめない)にして、測点の位置座標を計算上で変更して、ゆがみを補正しています。しかしこれでは、ハンディGPSの十進法データをそのままダイレクトに衛星画像に反映できず、非常に不便です。しかし紹介したソフトを用いると、衛星画像のゆがみをそのまま図面に反映して、画像そのものをハンディGPSの結果に合わせてゆがめてくれるので、GPSの十進法測位点をそのまま衛星画像上にプロットできます。このため、on-siteでの利用が便利となります。
 販売価格は約USD330.-です。


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