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DG-100(Globalsat)、RBT-2300(RoyalTek)の使用感想と、便利に使えるソフトウエア

2006〜2007年頃から登場してきた小型GPSを使用した感想についてレポートするとともに、これらが便利に使えるソフトウエアを紹介しています


 平成19(2007)年9月27日にMSAS(運輸多目的衛星用航法補強システム:MTSAT Satellite-based Augmentation System)の信号が、正式に共用が開始されました。平成19(2007)年9月頃より、このDGPSに対応した小型のハンディGPSが供給・販売され始めました。特に名刺箱くらいの大きさで、アンテナ・ロガー・PCへの接続を一体化し、1万円前後で販売されています。これらはGPSロガーやGPSマウス等と呼ばれ、位置情報などの表示が本体になく、単純にロギング(メモリーに位置を記憶しUSBやブルートゥースなどでパソコンに転送)するものです。例えば、i-Blue747(Transystem社)、BU-353(GlobalSat社)、WBT-201(Wintec社)、RBT-2300(Royaltek社)などが、それぞれ廉価版GPS用チップ(u-blox、SirfStar III、MTK(メディアテック))を載せて販売されています。
 ここで特徴的な点は、DGPSを使える(注1)という点と、非常に小型になり、かつ安くなったという点です。平成19(2007)年10月でこれらのスペック(仕様)をカタログ上で見る限り、地質調査で使うには、まだ若干の課題がありそうに思いました。

     
  1. いずれも内蔵されているアンテナは平面アンテナであるため、計測器を平面に置かなければならないことから、持ち運ぶには現実的でなくヘルメットなどの上面に設置せざるを得ない。小さいからと言って、胸ポケットに入れても、アンテナの指向性を考えると、かなり精度が悪くなってしまう。ただし従来小型のハンディGPSをヘルメットに載せていた方にとっては、軽くなったので、その点ではメリットかも知れませんが。  
  2. 防水機能がほとんどの機種で装備されていない。また、手に持って歩くには、それに適した形状とはなっていません。  
  3. 加えてこれらの小型のGPSは、まだDGPSの補足機能がきちんとしていないようです。DGPSとの切り替え機能が安定していないことから、DGPSを使用していない古いタイプの方が、測位精度が良い場合があるとのことです。  
  4. MSAS静止衛星の信号強度は、通常のGPS衛星よりもかなり弱いと聞いています。このため受信が安定せず、結果的に廉価なGPSチップではこの切り替えがうまくいかないらしいとのことです。高価な受信機との差は、ここにあるとのことです。
 そこでこれらの性能等について、実際の所どうなのか、使ってみた感想をまとめました。
 性能については絶対的な評価ができないので、技術屋が多く使っているマゼラン社のハンディGPS(今回はGPS-315、というか私はこれしか持っていない)を基本として、それと比較して行っています。

注1:ここで言うDGPSとは、WAAS対応の受信機のことです。通常、WAAS対応であればMSAS信号を受信できる可能性があります。ただしWAASとMSASでは異なるPRNコードを利用していますので、WAASのコードのみを処理する受信機であれば、MSAS信号は処理されないことから使えません。
  1. PRNコード(Pseudo Random Noise Code): GPS受信機でこの番号が変更できれば下記の番号にすれば良いし、もしくはオートサーチで受信できるようにする。
    • WAAS:PRN 135及び138
    • MSAS:PRN 129及び137
  2. 衛星番号:この衛星番号を受信しているかを確認する。
    • MSAS(日本:衛星番号42、50)
    • WAAS(米国:衛星番号35、47、48、51、34)
    • EGNOS(欧州:衛星番号33、37、44、39)
  3. みちびきのPRNコードは以下のように発表されています。
    • 補完信号は、GPSと同属のPRNコードを使用する。PRN番号は、193番〜197番である。QZSの1号機は193番、2号機以降は順に194番が割り当てられる。198番〜202番は、システムが使用するのでユーザは使用してはならない。
    • 補強信号
      1. L1-SAIF信号:GPSのL1C/A信号、或いは、SBAS信号と同属のPRNコードを使用する。PRN番号は、183番〜187番である。QZSの1号機は183番、2号機以降は順に184番が割り当てられる。188番〜192番は、システムが使用するのでユーザは使用してはならない。
      2. LEX信号:カサミ系列を使用する。PRN番号は、1番〜5番である。QZSの1号機は1番、2号機以降は順に2番が割り当てられる。6番〜10番は、システムが使用するのでユーザは使用してはならない。
    • 参考(みちびき特設サイトより引用)
      1. 準天頂衛星システムは、日本の天頂付近に常に1機の衛星が見えるように、3機の衛星を配置して、山間部やビルの谷間に影響されずに、全国をほぼ100%カバーする高精度の衛星測位サービスを提供することを可能とするものです。
      2. 準天頂衛星の最大の特徴は、その名のとおり、ユーザが“準天頂”を通る“人工衛星”からの信号を障害物の少ないほぼ真上から受信できることです。日本は北半球の中程に位置しているので、例えば静止衛星(赤道上に位置し、常に地球と同じ周期で回っているので、地球から見ると止まっているように見える)からの信号を受信するには、アンテナを赤道(南)の方角に、約30〜50度傾けないと信号が受信できません(地域や静止衛星の経度によって異なります)。そのため、その方向に山やビルがある場合、信号が邪魔されて受信することができないことがあります。
      3. 高精度測位を行うためには、測定地点から見て、どの人工衛星を利用するかが重要なポイントとなります。測定を行う人工衛星の配置が一方向に偏っていてると、測距誤差が拡大してしまい、ユーザの測位精度の劣化につながります。理想的には天頂と、広く地平線の上に3つの衛星が散らばっている状態がいちばん測位には良い幾何学的配置です。準天頂衛星は、少なくとも1機の衛星が天頂方向に見えるため、この理想的な衛星幾何学的配置に近く、 GDOP(Geometric Dilution of Precision:幾何学的精度劣化係数)が小さくなり、測位精度の改善効果が期待できます。
      4. 準天頂衛星初号機「みちびき」は、赤道を中心に日本とオーストラリアの上空を8の字を描く準天頂軌道を通るため、日本ばかりでなく、韓国やオーストラリア、東南アジアからでも受信でき、同じようなサービスを利用することが可能です。アジア・オセアニア地域は、世界でいち早く、マルチGNSS (GPS、Glonass、Galileo、Compass、QZSS、IRNSS)の利益を享受できる地域となります。


1.使用機種

 GPS315は以前から保有していたもので、従来のハンディタイプ。海外にも良く持って行き、僕にとって非常に信頼が厚い。マゼラン社のGPSは、海外で会った多くの技術屋が持っていた。ガーミンのGPSは、レジャー用と棲み分けられているようだ。
 DG-100とRBT-2300は、2007年に発売された小型機種。RBT-2300は、偶然手に入れたもの。DG-100は、以下の理由により選択。
     
  1. 最近販売された比較的新しい受信性能を持っている(受信機能としてSiRF Star IIIを使っている)  
  2. 内蔵の電源は、専用の充電池ではなく市販の電池が使えること。出張先で充電ができなくなる場合があるため。  
  3. 単体でロギングできること。ロガーとして別途何かを持って歩くとはしたくない。それを持って歩くくらいなら、従来型のハンディタイプのGPSに、外部アンテナが接続できるものを購入する。もちろん信頼性が厚いのに加え、雨や衝撃に強い事や、新しい機種であれば地図も表示できるからです。  
  4. 外部アンテナが使えること。実は最近、崖を登るにもGPS-315を片手に持って歩いているのは、ちょっときつくなってきました。ショルダーベルトか、ヘルメットの頂部に外部アンテナを付け、ロガーはカバンに入れれば、踏査がずいぶんと楽になるのでは、なんて思っているのですが。  
  5. PCにNMEAで転送できること。解析ソフトを使いたいからです。


2.使用状況

 いつも私が使っている状態です。

GPS315

 垂直型のヘリカルクワッドアンテナのため、できるだけ垂直に保持するように歩いています。実際には、デイパックのショルダーベルトに付けていることが多い。

DG-100

 外部アンテナとして平面型のパッチアンテナ(車のカーナビ用として、ダッシュボードの上面左奥に2×2cm程度の黒い箱としてよくみかける)だけを、バックパックのショルダーベルトに付けて、本体はデイパックの中に入れて歩いています。
 このおかげで、片手にGPSを持たなくても、ショルダーにGPSそのものを付けていなくても良くなったので、楽なこと、楽なこと。

RBT-2300

 本体は防水ではないので、B-8サイズのチャック付きビニール袋に入れ、それを小さな袋に入れて持って歩いています。この他、本体(ビニール袋入り)をデイパックのショルダーベルトに付けて歩く時もあります。


3.測位記録の比較

ハンディGPS2機種(GPS315(Magellan)とDG-100(GlobalSat))を同時計測し、その結果を図示し、それらを元とした定性的な比較評価の報告

3−1.比較法

 本来であれば、衛星の配置(DOP等)や現地の地形を含めて考察するのが良いと思います。しかし定性的には、従来機種と同時計測し、その結果を比較することで、性能が評価できると思います。そこで、いくつかの現場状況を設定し、複数の状況にて比較することとしました。
 レポートには、現場状況、実際に移動したルート、GPS-315・DG-100の測位ルートを示しています。

3−2.比較レポート

  1)
天空が解放された郊外の町中の場合(PDFファイル約860kB)
  2)天空がやや狭められている山地(国道沿い)の場合(PDFファイル約  kB)
  3)天空がやや狭められている都市部(ビル街の中)の場合(PDFファイル約  kB)
  4)天空が解放された郊外の町中の場合で、ポケットに入れ徒歩移動の場合(PDFファイル約410kB)
  5)定点測位:天空が解放された郊外の町中(PDFファイル約  kB)
  6)定点測位:天空が狭められている複数の地域(PDFファイル約241kB)


4.使用した全般の感想

4−1.DG-100の使用感

 DG-100を使ってみた感想だが、測位性能がよいとは感じられない。「SiRF IIIは良い」とインターネット上で多く書かれているが、GPS315と比較する限り、測位性能の良さをほとんど感じることはできない。それよりも「作りが雑」という一言に尽きる。設計の性能はそれなりなので、非常に残念。このあたりが、小型精密機械先進国製との「差」なのだろう。
 結論として言えば、DG-100を単体で使うならば、仕事(業務)には使えない。仕事に使うならば、自分でリスクを許容し、リスクを補完するツールを他に用意しなければならない。まぁこの金額で、この性能であれば、「おもちゃ」としてはかなり良い部類に入るだろう。
 比較してよくわかったことだが、正直に言って、GPS-315の性能の良さがよくわかった。海外の多くの技術屋が使っていたのもうなずける。

     
  1. コールドスタート(電源を入れてから測位(ロギング)を開始する)の時間に、10分以上かかる場合があり、測定開始までの時間が安定していない。比較のために同時にスイッチを入れるGPS-315は、おおむね1〜2分で測位が始まるのに。もちろんDG-100のDGPS受信は切っている。  
  2. 外部アンテナの接続コネクタにMMCXタイプを用いている。このタイプはスナップオンオフタイプだ。なぜ、主として屋外で使用し、かつ手で持ち運び、固定しない計測器に、スナップオンオフタイプを採用するのか、全く理解できない。何回も抜き差ししていれば「ゆるく」なってしまうし、そうなれば当然ながら、簡単にはずれてしまう。普通であれば、野外使用する計測器であれば「ねじ止め」を採用するのが基本だろう。すなわちSMAとかSMCタイプのねじ式の同軸コネクタを使うのが基本のはずだ。  
  3. ロギング間隔を変更することできるスライドスイッチが、かなり安っぽい。アンテナのコネクタと同様、なぜこのような安い、粗雑な部品を使用しているのか理解できない。  
  4. 電池の外蓋の作りが雑。せっかくUSBコネクタの収納に磁石を使って、使いやすくなっているのに、本当にもったいない。  
  5. 測位性能は、感覚的に言えば「まぁまぁ」。GPS315と比較しても、特に優れているという特徴は感じられない。
    1. まぁ強いて言えば、車両(新幹線、特急、車)に乗っているときの測位だけは非常に良い。GPS315では移動車両での測位は良くなかったが、DG100ではかなり良い。カーナビ向けの仕様としてはよいのだろうが、我々のような徒歩が主体となる仕事では、ほとんど関係ない。
    2. 捕捉できる衛星数やS/N比を、いろいろな場所でVisualGPSを用いて定点測位にて同時比較した。しかしGPS315とDG100の両者ともに、明瞭な差はみられない。とてもこの記事で紹介されているような差(SiRFがずば抜けて良い:比較しているもう一方が悪すぎるのか?)を見ることができない。
    3. 実際の移動(私たちにとっては徒歩移動)の測位は、GPS315と比較しても特に優れているとは思えない。
    4. 特に気をつけなければならない点として、受信状態が悪くなった場合(屋根の下)でも、DG100は測位の記録を残してしまうという点をあげることができる。直接波ではない回折してくる波を測位に使うため、結果的に測位される位置が、実際の位置とは異なる。これは、後でデータ整理のために、DG-100で記録された位置情報だけを見ても、それが正しい位置なのかが確認できないことを意味する。林の中などの天空が開けていないような場所で位置を確認するためにGPSが使えないとすれば、常に他の情報(例えば地形)で位置を確認しなければならなくなる。これでは何のためにGPSを使うのかが、よくわからない。比較しているGPS-315は、衛星の受信S/N比が悪い場合には、それをオミットして測位には使わなようにして、精度の悪い位置は記録しないようにしている。DG-100はオミットの考え方が異なるのだろうか。(SiRF Star IIIを使っているGarmin60CSxではどのような処理をしているのだろうか。)
      • 天空の状態が悪い場所(家の中・屋根の下など)でも衛星を捕捉し、位置を計算する点についてちょっと私の考えを書いておこう。私はこの機能は、測位にとって良いこととは思えない。家の中で受信した記録をよく見ると、位置情報のみを用いる計算上のHDOPが非常に低く(例えば1.3位)なる。ところが困ったことにHDOPの値に関係なく、測位の位置がかなり変動してしまうのである。受信性能が良すぎるが故に、HDOPのthreshold levelやS/Nでは、測位に不適切な信号をオミットできていない。直接波ではない可能性のある地平線からの角度によるマスクも、これでは意味がないように思う。
      • 山の中でも同じように直接波ではない信号を受信して位置を決定せざるを得ないこともままある。GPS-315では、ある範囲(設定できる)内に留まった場合、それ以降のデータを平均化させるという機能があらかじめ用意され、メモリーのロギングも平均値が記録される。地質踏査の露頭観察や、水文調査の湧出地点での調査を行うような場合、ずっと受信を続けているだけで、比較的真に近い位置を求めることができる。なおこのような移動体停止時のデータ自動平均化機能を、PC上で実現させるソフトもある。例えばNMEAgent(最新のバージョンは1.28)がある。このソフトはDOPの低い値を除外して記録することもでき、結構使い勝手がよい(蛇足だけど開発者のMr.Mikeはレスポンスがいいし)。もちろんDG-100でこの種のソフトを使ったとしても、本質的問題点として、位置決定に不適切な信号を除外できない点にあることには変わりはない。
  6. 内蔵メモリーへのロギングは、NMEAセンテンスを全て記録しているわけではなく、位置と時刻などの主要な情報だけ。これはGPS315でも同様だ。できればロギングできる内容の選択として、NMEA全てを記録できるようにして欲しい。

 いくつかの使いやすい機能もあります。

  1. 第一にとても小さい。第二に電池が非常に良く保つ。第三に多くのデータがロギングできる。  
  2. ロギングの間隔を、秒単位で3種類設定でき、それらを物理的にスライドスイッチで変更できる。  
  3. 使用している充電池(単三2本)を、USBを接続することにより充電できる。ただし充電の仕様については公開されていないので、不安はある。  
  4. トラックのメモリーは、電源スイッチのON/OFFごとにファイルが作られる。定点測位の不安定については、定点測位ごとにファイルを分割(スイッチのON/OFF)することで、データをエクセル等で平均値をとっても良いし、DG-100が出力するNMEAを正しく書き直すことで定点測位ソフトに転送すること等で、カバーできると思う。  
  5. 外部アンテナが使えるのも良い。私はよく外部アンテナを車の屋根に貼り付けたり、車用GPSのアンテナ台に貼り付けて、利用している。もちろんアンテナは防水だし、底面に磁石が内蔵されている。  
  6. いくつかの使いやすいユーティリティーが公開されている。
        ・SiRFdemo:SiRF STAR IIIのセッティングを行うとともに、受信している状況をモニターする。
        ・GPSInfo:受信している状況をモニターする他、WAASのOn/OffやVTGの出力をOn/Offする。
        ・DG Manager:ロギングした受信データをGPXやKML等に変換して保存できる他、軌跡をGooglemapに表示し、またデジカメの写真を撮影時刻とトラックデータとを同期させ表示することもできます。
        ・DG100:日本語で使えるDG-100用のデータダウンローダー、設定変更ツールです。

4−2.RBT-2300の使用感

 小型であるというだけで、防水ではないため、私の使用用途では若干困る事が多い。
 なおこの機種に使用している電池はNokiaのBL-4Cというタイプであり、互換バッテリーや、このバッテリー専用の充電器もあることから、この点は便利だ。


5.DG-100をSiRFDemoでSiRF Star IIIのセッティングを最適化する

 上記に書いてきた課題(受信のパラメーターを使用状況に最適化する)ために、DG-100のセッティングを変更することができます。チップメーカーが用意しているプログラムの使用することで実現できます。
 しかし最初にお断りしておきますが、SiRFDemoはDG-100には対応していない(接続しても衛星の配置であるとか、各種の表示は一切現れません)とのことです。従って、下記のように接続を行い、SiRF Star IIIのパラメーターを変更し、DG-100が動かなくなったとしても、それはご自身のリスクで行ってください。私はここに書いてある方法をお薦めしません。なお、このセッティングパラメーターは、本体に保存されません。電源をOFFにすると、初期設定に戻ります。
     
  1. DG-100の電源を入れる。  
  2. 電源のLEDが点灯したら、PCに接続。  
  3. PCのSiRFDemoを起動。  
  4. 通信のパラメーターを合わせてOK。  
  5. アイコン(Connect to data source)をクリック。何も表示されませんが、これで接続されています。  
  6. 接続を確認するため、Pollメニューから、SW Versionをクリック。するとResponce ViewにDG-100のSW Versionが表示されます。
 さてSiRF Star IIIのセッティングパラメーターですが、SiRFで出している「SiRFstarIII Evaluation Kit User Guide」に細かく書いてありますのでそれを参考にしてください。ただしある程度、衛星測位の知識は必要です。

 このUser Guideを読んで、私ははじめてわかったことですが、SiRF Star IIIのパラメーターには、車両用のナビゲーション(カーナビと言って良いのかな)のためのセッティングが多く用意されていることでした。例えばトンネルに入って検知できる衛星数が減った場合でも、ある程度正確に測位できるように、減った衛星分の情報を他の情報で補完するパラメーターが用意されています。車両の速度であるとか、進行方向などがそれにあたります。カーナビであれば、それは非常によい情報ではありますが、山中を駆け回る(歩きまわるの方が正しい)我々地質屋にとっては、あまり良いことではありません。検知できる衛星数は、木々や露頭で常に変化するためです。その変化をわかりやすいように、V字谷の底で定点観測を行った例をお示しします。定点観測とは言え、地形的に受信状態が安定しないため、捕捉衛星数は7〜2程度に変化します。

Fix point

 ご覧のように、一定点を示しません。衛星測位の基本は、この誤差を如何に減らすか、すなわち捕捉する質の良い受信衛星数を如何に増やすか、にあります。DGPSやSBAS(Satellite Based Augmentation System、日本ではMSAS)ではこの誤差を消すことはできません。この図に示されている誤差(この図で言えば北西から南東へ点が移動している)は、少ない衛星数で測位を行うため、その少ない計算パラメーターを補完する事によって発生する計算誤差と言っても良いもので、DGPSやSBASで補正できるものではありません。この誤差をなくし、ほぼ同一点にて測位できるようになった後、DGPSやSBASの出番が来るのです。
 もちろん日本上空に天頂衛星が設置されれば、劇的に測位の精度は良くなるはずです。その意味で、準天頂衛星「みちびき」の実験に期待するところは、社会的に大きいのです。


6.DG-100をアンテナとして定点測位ソフトやカシミール3Dを使う

 この使用法は、最近になってGPS Mouseと呼ばれるようになった方法で、GPS受信機(ここではDG-100)をアンテナとデータフォーマット変換(GPS衛星から受信したデータをNMEAデータフォーマットに変換)のみに使用し、NMEAをPCにリアルタイムで送り、PCで解析(例えばカーナビのように)させる方法です。
 僕がよく使っているのはGPS315で使っていたVisualGPSによる定点測位と、車のカーナビとしてカシミール3Dです。
 両者ともに何事もなく、測位・表示を行っています。

display of the VisualGPS (by DG-100 gps mouse mode)

 ただしGPSマウスとして使用する際に、若干の操作が必要になります。この操作を行わなければ、GPSロガーとして、位置のみがメモリーに記録され、USBからは何も出力されません。

     
  1. GD-100に添付されているソフトウエア「GlobalSat Data Logger PC Utility」にて「Start GMouse mode」をクリックし、USBからNMEAを連続してはき出す設定にします。はき出していれば、NMEAデータがウインドウに連続して表示されます。  
  2. この状態になったら、そのまま連続して表示が続いている状態のまま、この「GlobalSat Data Logger PC Utility」プログラムを終了させます。  
  3. 次にそれぞれのソフトウエアを起動し、それぞれのソフトでの通信設定について、COM Portを「GlobalSat Data Logger PC Utility」にてGD-100を接続したのと同じPortにし、また通信速度を115200bpsにします。  
  4. これで測位が始まります。

 VisualGPSはDOPのthreshold levelが設定できるので、結構気に入っています。でも低角衛星をマスクできない点が、ちょっと不満足な点です。


7.GPSを便利に使うソフトウエア

7−1.GPSのトラックデータとルート上で撮影した写真をリンクする

  1. Picopolo:前のバージョンがfreeで公開されています。
  2. locr GPS Photo for Windows:販売されているGPSに標準添付しているメーカーもあります。基本的な部分はFreeで使えます。
  3. onAroundImmageo:Immageo is all about making your photos as memorable as when you took them, by geotagging each photo. Immageo is a truly exciting example of what you can and should do with your photo collections. Its more than an album organiser, it embeds map locations and notes into your photos. And when you come to review them Immageo displays them all in context of when and where in the Immageo map, calendar and notes panels.
  4. カシミール3D:カシミールでも、同様にGPSで移動したルートとデジタルカメラの写真を一体で管理・見ることができます。またデジカメ写真(JPEG)データのEXIFにGPSのロケーションデータ(位置情報:Geotag)をGPSの移動ルートから推定して書き込ませる(Geotagの行をExifデータの適切な行間に埋め込む)こともできます。もちろんジオタグを入れても写真データファイルの日付は変更されませんので安心です。
  5. みんなでGIS:GISの簡易ソフトで、freeで使えます。ただし用いる地図等は自分で用意しなければなりません。

7−2.GPSの衛星の受信状況をNMEAデータからモニターする

  1. NMEA Monitor for windows、他データコンバーターなど - このモニターはNMEAのセンテンスごとに解析した結果をモニタリングできます。DGPSや衛星の仰角もわかります。
  2. WinFast Navigator - Pocket PC, Palm, Windows laptop用があります。ネットで検索するとPPC用を多数見つけることができますので、このリンクはWindows用を示しています。
  3. 上記で書いているVisual GPSもこのためのソフトです。

7−3.GPSのNMEAシリアルデータを記録する

 DG-100のロギングは、位置情報しか記録しません。NMEA全てを記録しません。よって後で解析しようにも、それができません。よって後で解析する場合には、mouseモードで232Cからシリアル出力するNMEデータを全て記録する必要があります。手元にPCがあるなら、それを利用するのも1つの方法です。
  1. GPS Visualizer - FREE Utility to capture information from a GPS satellite receiver via a serial port.
  2. 上記で書いているVisual GPS やNMEA monitorでも記録できます。

7−4.GPSデータを地図に表示させる(on line)

 ソフトウエアを持っていないときに、インターネットの地図(google mapsなど)上に、GPSデータを表示できれば便利ですよね。例えばインターネットカフェならば、発展途上国の都市部にたくさんあって、むしろ日本国内よりも多いくらいですよね。そんなリストです。
 それに日本国内でも会社などのLANで使用ソフトに制限がかかっているため(プロキシなど)に、GoogleEarthが使用できない場合にも、ブラウザーであれば使うことができます。
 この他にもたくさんありますので、使いやすいものをどうぞ。
  1. GPS Visualizer - GPS Visualizer is a free, easy-to-use online utility that creates maps and profiles from GPS data (tracks and waypoints), street addresses, or simple coordinates. Use it to see where you've been, plan where you're going, or visualize geographic data (business locations, scientific observations, events, customers, real estate, geotagged photos, etc.). またGPSのトラックデータに、NASAのSRTMの標高データを挿入してくれるというサービスも提供されています。
  2. uTrack - uTrack is online utility for generating track reports from *.GPX files. The track is shown on Google Maps or AMaps, there are calculated some parameters and showed some profiles of the track on report too. It is possible to export report into *.PDF file.
  3. GPS GPX Interactive Map
  4. GPX loader for Google Maps

7−5.GPSの時刻をPCの時刻に同期させる

  1. GPS Time Clock - Free utility from TimeTools to periodically monitor and synchronise to any standard NMEA GPS receiver.

8.GPSで遊ぶ

  1. geocachingは座標(緯度経度)を目標に宝物を探しに行くゲームです。地図が表示できるようなGPSシステムじゃないと、ちょっと難しいかも。

9.DG-100をWindows8で使う

2013年8月追記

 PL2303のドライバーをProlific社のサイトからウインドウズ8用をダウンロードし、DG Manager.NETで、特に問題なく使用できています。
 最近、重いのを持ち歩きたくないので、多少精度が悪くても、ポケットに入れてロギングができるこれを使うことが多いです。


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