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放射能・放射線の測定法一覧
特に物品(災害廃棄物、ガレキ、採石、製品)等に関する測定法の整理
目次
1)放射線の測定についての基礎知識
2)測定法
3)測定や、放射線のレベルに対する考え方
4)放射性物質の挙動について
5)その他
1)放射線の測定についての基礎知識
多くの解説が出されています。その中で、私が読んで良いと思ったものをリスト化しています。
- わかりやすい放射線測定の解説書
- 書籍(PDF)名:やさしい放射線測定−誰もが正しく測定するために−
- 日本アイソトープ協会の「福島第一原子力発電所事故と放射線に関する情報(解説・ICRP勧告・機器ガイド・関連情報)」サイトよりダウンロード
- http://www.jrias.or.jp/index.cfm/1,14676,3,html
- サーベイメータの原理やその取扱い、スペクトル解析についての動画を使った解説
- 放射線医学総合研究所の「動画ニュース」の中にある「放射線教育アニメーション」の一覧からアクセス
- http://www.nirs.go.jp/information/movie/
2)測定法
- 放射能測定法シリーズ(文部科学省)
- 物質ごと、測定機器ごとに、測定法をPDFファイルで紹介。「放射能測定法シリーズ」サイトの一覧からダウンロード。
- http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/pdf_series_index.html
- 表面汚染の測定法
- 物品等の測定法の基本。表面汚染の単位は、単位面積あたりの濃度。
- 日本工業規格(JIS)で、その方法(直接法や拭き取り法など)が明確に規定されている。
- JIS Z 4504「放射性表面汚染の測定方法−β線放出核種(最大エネルギー0.15MeV以上)及びα線放出核種」
- 土壌(地盤面の表面汚染ではない)の測定法
- ここで紹介している調査法は、いわゆる除染にかかる地盤表面の汚染状況調査ではなく、土壌そのものの調査法を紹介している。
土壌(除染のための調査を除く)の調査については、文部科学省で作成している「放射線量等分布マップ」において用いられている方法がある。この調査法は「放射線量等分布マップの作成等に係る検討会」の第1回から第2回までの会議で、具体的な方法の検討がなされている。
なお配付資料をみるだけでなく、その適用について議論がなされているので、かならず議事要旨も確認すること。
- 第1回:議事要旨、配付資料
- 第2回:議事要旨、配付資料
- 農用地土壌の簡易測定法
- 福島県農業総合センターによる農用地における土壌の放射線測定の簡易マニュアル。
- NaIシンチレーターによる土壌の濃度(ベクレル)の推定法。ただし式が適用される機種を「LUDLUM 2241-2」としている。
- 土壌放射線測定簡易マニュアル
- 農用地除染のための測定法
- 農林水産省による農地除染を行うための調査法。
- 農地除染対策の技術書概要(調査・設計編、施工編)
- 農地除染対策の技術書(第1編調査・設計編)
- 肥料中の放射性セシウム測定のための検査計画及び検査方法
- 農林水産省による肥料中の放射性セシウムの暫定許容値への適合性を判断するための検査方法。
- 肥料中の放射性セシウム測定のための検査計画及び検査方法
- 砕石の測定法
- 基準とする線量は示されているが、具体的な測定方法は示されていない。
- また福島県においても砕石の調査・測定が実施されているが、その際に実施した調査方法についても、公開していない。
- 放射線量が高い地域からの砕石の流通に係る対応について(経済産業省)
- 水道水等の放射能測定マニュアル(厚生労働省)
- 各都道府県水道行政担当部局への通知案内ページからダウンロード。
- http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001rd6x.html
- 参考「水道水における放射性物質対策検討会」
- http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ahdf.html#shingi110
- 工業製品の放射能汚染を確認する方法(日本電気計測器工業会)
- 2011/5/24のプレスリリース「工業製品の放射能汚染を確認する方法について」
- http://www.jemima.or.jp/press/
- 木材製品の表面密度等の測定方法(林野庁)
- 2012/8/9のプレスリリース「木材製品の放射性セシウム表面密度等の調査結果について」に示される添付資料「放射性セシウム表面密度等の調査方法について」
- 「木材製品の放射性セシウム表面密度等の調査結果について」の最下段(4.今後の予定の下)にリンク有り。
- 災害廃棄物(ガレキ)等の放射能調査・測定法暫定マニュアル(環境省の方法)
- 測定対象(廃棄物物)ごとに測定法を紹介。国立環境研究所の【放射性物質汚染廃棄物に関する自治体担当者・専門家向け技術情報等】の一覧からダウンロード。
- 廃棄物等の放射能調査・測定法暫定マニュアル
- 災害廃棄物(ガレキ)等の放射能の測定(JNES原子力安全基盤機構の方法)
- JNES-EV-レポート(技術評価報告書等)の2011年度の報告書一覧からダウンロード。
- 災害廃棄物の放射能汚染状況の調査
- 災害廃棄物(ガレキ)等からの雨水等を経由して地下水等の水への移行評価のための測定法(環境省の方法)
- 安定型処分場へ搬入する廃棄物(いわゆる安定5品目)に対する評価として、平成24年10月26日〜11月26日の間にパブリックコメント募集のために示されている添付書類「「公共の水域及び地下水の汚染を生じさせるおそれのない特定廃棄物等の要件」の概要」に記述。
- この概要書には「JIS K 0058に定める方法により作成した検液について、ゲルマニウム半導体検出器を用いて測定」とある。
- 放射性物質汚染対処特措法施行規則第26条第4項及び附則第4条の規定による環境大臣が定める要件に対する意見の募集(パブリックコメント)について (お知らせ)
- 港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン(国土交通省)
- 下記のページからダウンロード。
- http://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_fr1_000046.html
- 港湾における船舶放射線測定のためのガイドライン(国土交通省)
- 下記のページからダウンロード(ページ下部の「参考」一覧中の最上段にリンクあり)。
- http://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_fr1_000046.html
- 中古自動車・中古建設機械における日本からの輸出時の測定方法、および線量(日本港運協会、全国港湾労組、全日本港運同盟、暫定確認書)
- 福島第一原発事故に伴う放射能汚染問題(中古自動車・建機等)に関する暫定確認書(「港湾労働」 2011年9月号 第1254号)
- 自動車除染マニュアルに基づく自動車の線量測定
- 測定すべき箇所はマニュアル中の3ではなく、5に細かく書いてあります。
- 自動車除染マニュアル(第1版)(平成23年12月)
- 動画による測定法の紹介(厚労省)
- この動画は、除染を業務で行う場合に行われる作業員向けに行われる特別教育用につくられた教材です。従って、調査が主ではありません。
- 除染等業務特別教育(実技科目)の動画教材
- 放射能測定器及び放射線測定器等の校正について(経済産業省)
- 測定機器の校正について、注意が喚起されています。多くの現場で、校正されていない機器が使われているのを目にします。
- http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/sokuteikikousei.html
3)測定や、放射線のレベルに対する考え方
○表面汚染の測定に用いるGM計数管の計数率(単位:cpm)から、放射能面密度(単位:Bq/cm2)や線量率(μSv/h)へ換算する方法
「放射線計測の信頼性について」(産業技術総合研究所)の「3.計測器の表示値の換算方法」に詳しい。
ここで示されている方法は、JIS-Z-4504に基づく調査を行った場合のみ適応できることに注意。スクリーニングで行われている方法(GMプローブと調査対象物との距離が10cm)には、ここで示されている方法は用いることはできない。
計算例(JIS Z 4504に基づいて測定した場合)
仮にTGS-146Bで測定した結果が13,000cpmであった場合、以下の通りとなる。
(13,000−0)cpm / 60sec × 0.45 × 0.5 × 19.6 cm2
≒ 49 (Bq/cm2)
ここに線源はセシウム137のベータ線0.514MeVを100%とした。またバックグラウンドはゼロとした。
○表面汚染の測定結果から、そのクリアランスを判断する方法
「表面汚染測定を用いたクリアランスの判断方法」の標準制定(日本保健物理学会、平成23年1月31日)に詳しい。
あくまでも「表面」汚染のクリアランスであって、体積のある物体のクリアランスではないことに注意が必要。
○クリアランスレベルの設定について
次のレポートが設定の経緯や内容についてよくまとめられている。
「放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルについて」(平成22年11月1日放射線安全規制検討会、文部科学省科学技術・学術政策局)。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/004/004/sonota/1301630.htm
このレポートを簡単にまとめる。
自然界の放射線レベルに比較して十分小さく、また人の健康に対するリスクが無視できるものとして、対象物から受ける線量の目安の値として10μSv/y (0.01mSv/y)に設定した。
これを基準として、原子力発電所等の解体等に伴って発生する廃棄物のうち、金属やコンクリート等について再利用・再使用や一般廃棄物として処分する場合の放射能濃度や検認の考え方について検討がされた。
この検討は以下の6つのレポートの通り。
- 平成21年10月:ウラン取扱施設におけるクリアランスレベルについて
- 平成16年12月(平成17年3月一部訂正及び修正):原子炉施設及び核燃料使用施設の解体等に伴って発生するもののうち放射性物質として取り扱う必要のないものの放射能濃度について
- 平成15年4月:核燃料使用施設(照射済燃料及び材料を取り扱う施設)におけるクリアランスレベルについて
- 平成13年7月:重水炉、高速炉等におけるクリアランスレベルについて
- 平成13年7月:原子炉施設におけるクリアランスレベル検認のあり方について
- 平成11年3月:主な原子炉施設におけるクリアランスレベルについて
○空気や排水中の濃度の考え方について
たとえば廃棄物ガイドライン(H23年12月第1版、環境省)で示している下記の濃度限度は、下記表のタイトルにある告示に基づいている。この告示中の第14条(排気又は排水に係る放射性同位元素の濃度限度等)の第二項に、「放射性同位元素の種類が明らかで、かつ、排気中若しくは空気中又は排液中若しくは排水中にそれぞれ二種類以上の放射性同位元素がある場合にあっては、それらの放射性同位元素の濃度のそれぞれその放射性同位元素についての前号の濃度に対する割合の和が一となるようなそれらの放射性同位元素の濃度」と規定している。ここで「前号の濃度」とは、「別表第二の第一欄に掲げる放射性同位元素の種類に応じて、排気中又は空気中の濃度については同表の第五欄、排液中又は排水中の濃度については同表の第六欄に掲げる濃度」としている。
表「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」(平成十二年科学技術庁告示第五号、最終改正 平成十八年十二月二十六日 文部科学省告示第百五十四号)に示されるセシウムの濃度限度(抜粋)
第1欄 放射性同位元素の種類 / 第2欄 吸入摂取した場合の実効線量係数(mSv/Bq) / 第5欄 排気中または空気中の濃度(Bq/cm3) / 第3欄 経口摂取した場合の実効線量係数(mSv/Bq) / 第6欄 排液中または排水中の濃度限度(Bq/cm3)
134Cs / 9.6×10-6 / 2×10-5(20Bq/m3) / 1.9×10-5 / 6×10-2(60Bq/L)
137Cs / 6.7×10-6 / 3×10-5(30Bq/m3) / 1.3×10-5 / 9×10-2(90Bq/L)
○スクリーニングレベルの設定とその考え方について
原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会被ばく医療分科会にて議論がされており、「医分第30-5号 スクリーニングに関する提言(案)」(2012年2月7日原子力施設等防災専門部会被ばく医療分科会第30回配布資料)に、2012年初頭現在のスクリーニングレベルの課題等がよく整理されている。
3月11日以降、事態が経過するとともに、スクリーニングに関して様々な課題が出さている。スクリーニングレベルの値が1つであるのに対して、下記に示す4種類の異なる目的に用いられており、それらが混在している。
- 身体除染スクリーニング
- 目的:急性障害を防止するための除染実施の必要性の判断
- 内部被ばくスクリーニング
- 目的:事故後初期においては放射性ヨウ素による内部被ばくの対策の必要性の判断
- 汚染拡大防止スクリーニング
- 目的:放射性物質の汚染拡大の防止のための除染・持出し禁止実施の必要性の判断(警戒区域外への物品等の持ち出し)
- 被ばく医療機関受け入れのためのスクリーニング
- 目的:被ばく医療機関が患者を受け入れることの可否判断
ここで3の汚染拡大スクリーニングレベル(すなわち物品を警戒区域からの持ち出せるかを判断する基準)については、13,000cpmが基準とされて(例えば大熊町)いる。スクリーニングは、本来、身体の付着レベルを判断することを基本として考えられている。その測定方法は、TGS-136※のセンサー部と、対象(この場合は皮膚)との離れを、10cmとした計測値として基準化されている。
※:日立アロカメディカル社製。直径5cmのGMカウンターを用いた表面線量計。
ここで「物品の持ち出し」の判断レベルについて、気をつけなければならない点がある。放射線施設内の管理区域から持ち出すことのできる物品を判断するレベルについて、それを定める法令があることである。その法令は、文部科学省所管の「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、同施行令及び同施行規則」)に示されるの放射線強度の測定法(表面)は、JIS Z 4504に基づくことと規定されている。表面線量計(サーベイメータ)で測定する場合は、センサー先端の離隔距離は5mmである。
公的機関においても上記の4点が混同されて扱われている。値だけをうのみにせず、測定方法や関連法令等、十分に注意をはらって扱う必要がある。
4)放射性物質の挙動について
○土壌中の挙動について
原子力発電所事故等による土壌・農作物の放射能汚染に関する情報ポータル
5)その他
○マイクロの表記について
マイクロを表記する場合、慣習的に「u(小文字のユー)」を使う場合があります。たとえばマイクロシーベルトを「uSv」と書いているものもあります(海外の文献など)。
なお海外向けに発表するWebsite用のHTMLや、PDF、パワーポイント、ワード等の文章を作成される際には、日本語フォントでマイクロと書いても、相手には全く異なる表示がされることがあります。私の下記ページをご参照いただき、十分にご注意いただき、情報の発信をしていただけたらと思います。
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