Jan 2005 : 一部リンク切れを修正
ヘキサダイヤグラム(シュティフダイヤグラム;Stiff-diagram)は、なにもヘキサ専用のソフトを買わなくっても、手持ちのエクセルやグラフソフトで簡単に描くことができます。また従来の6成分によるヘキサダイヤグラム(シュティフダイヤグラム;Stiff-diagram)ではなく、8成分の同グラフの提案をしています。これも併せて紹介いたします。
トリリニアダイヤグラム(パイパーダイヤグラム)は、早狩氏がエクセルのアドインプログラムを、濱田氏がエクセルの図形化ファイルを、それぞれ個人のサイトにて公開されています。これらの描き方を伝授しましょう。
さらに、水質分析専用のソフトとして、Aqua Chem(Waterloo Hydrogeologic)がありますが、その使った感想などを紹介しましょう。
このページの目次
エクセルで散布図を書かせて、各プロットしたデータを結べばいいのです。
ほうら、もうわかったでしょ。
気がつくと、なぁんだって思う、コロンブスの卵です。
このデータさえ作れれば、エクセルでなくてもヘキサダイヤグラムを作る(描く)ことができます。
A列 | B列 | C列 | |
---|---|---|---|
1行 | 分析項目 | X軸(分析値 meq/L) | Y軸(分析項目) |
2行 | Na+K | -1.229 | 1 |
3行 | Ca | -3.074 | 0 |
4行 | Mg | -3.194 | -1 |
5行 | SO4+NO3 | 1.097 | -1 |
6行 | HCO3 | 6.421 | 0 |
7行 | Cl | 1.423 | 1 |
8行 | Na+K | -1.229 | 1 |
作成したグラフは、コピーアンドペーストで、お使いの地図ソフトに貼り付ければよいのです。
簡単でしょ。
エクセルで作ることができるキサダイアグラムのファイルをおいておきましょう。
ただし、注意点がいくつかあります。
このため、数値を入れればすぐに使えるという物ではありません。主要イオンをどのように分析して、どの様に表示するかは、対象とする水の水質や使用者の考え方によって異なります(例えば上記のように8成分表示など)。
少しでよいので勉強してから使ってね。参考書を下に書いておきました。難しいマクロや関数は一切使っていませんので、各セルの式を覗いていただければ、設計意図は簡単に理解できると思います。
- 水質チェックの方法は、イオンバランス(2種)と電気伝導度による3種の方法を利用できるようになっておりますが、留意点があります。
- イオン濃度から求める理論電気伝導度は、イオンの濃度を考慮していません。極限当量電気伝導度で計算しています。どなたか濃度変化に対応できるものを作ってくださると、僕だけでなく誰にとっても非常に良いのですが。
- 通常のイオンバランスと電気伝導度の2つのチェック方法については、判定基準値を定めておりません。表中の判定基準値の入力セルに、ご自分で入力してください。主要イオンの品質確認方法については、AWWAの方法を書いておきましたので参考にしてください。
ちなみに地下水のイオンバランスの場合、今お世話になっている大学の先生は、1から2%の範囲で分析できて当たり前、3%が上限ね、っておっしゃっています。片方のイオンの総計で、2から3(meq/L)程度以上のサンプルの場合です。確かに毎年行われている学生実験(3年生)でも、この程度のイオン量で3%を越える人はまずいません。ですので、ちょっと幅をとって5%ってところでしょうか。- もちろんエクセルの簡単な関数を理解できる能力がないと、使いこなすのは難しいでしょう。
分析項目でクセがあると思われる部分は、ご自由に直して使ってください。
セルに誤入力できないようにロックをかけていますが、パスワードは指定していません。シート全体をロック解除すれば、自由に改変できます。
−>DOWN LOAD Hexa.zip(52kb):Zip compressed file
都合によりしばらくdown loadは中止します。あしからずご了承ください。
簡単な参考書
本来この図で表現したい意図は、水質を簡易的に分類表示することや、複数による対比にて水質が形成された反応過程(風化や酸化還元反応等)を読み取ることにあると考えます。この点から考えれば、適切に分類できる項目を選択して表現することや、水質形成の反応を読み取れるイオン組成を取捨しダイヤグラムに表現するべきと考えています。すなわち、本来のヘキサダイヤグラムは、表現したい反応について、主要イオン組成を取捨選択することで、その反応を適切に説明し、その上でその地域の水質を分類・表現するものと考えます。
最近、この考え方が通じない事例を多く体験します。例えば鉄と硝酸がその最も良い例です。「各種の論文でヘキサダイヤグラムに鉄が入っているのを見たことがない」ので「鉄」を分析する意味はないとか、「硝酸は汚染問題だけのことで、水質形成には関係ない」と言われるケースが多いのです。またヘキサダイヤグラムの表示項目・内容を、固定して、それ以外の項目を表示すると混乱するのでやめるようにと言われたこともありました。
蛇足ですが、そのような方は決まって、ORPの現地測定も不要と決めてかかる方が多いのも共通しています。水質に関して、なにかしら固定した考え方が、日本国内で普及されているように思えてなりません。
このようなことを踏まえると、私は6成分ではく8成分を表示することが良いのでは、と考えています。(8成分だからオクタダイヤグラムか?まぁ普通にシュティフダイヤグラムでよいと思う。)
右図にエクセルでの例を示しますので、参考にしてください。
○アニオン(陰イオン)
1)塩化物イオン(Cl)
2)炭酸水素イオン(旧称:重炭酸イオン、HCO3):(注意:このイオンで示したいときは、適切なスペシエーションを計算して表示してください。私としては、わざわざこのイオンに変換しなくとも、現地測定のアルカリ度(meq/L)を表示することが良いと思っています。)
3)硫酸イオン(SO4)
4)硝酸イオン(NO3)
○カチオン(陽イオン)
1)ナトリウムイオン+カリュウムイオン(Na+K)
2)カルシウムイオン(Ca)
3)マグネシウムイオン(Mg)
4)鉄イオン(Fe):(注意:適切にスペシエーションを検討してから表示してください。)
Kehewの教科書を見ると、Stiff graphの例として8成分を取り上げています。6成分でなければいけない必要は全くありません。なおKehewの例では、Cation(Na+K, Ca, Mg, Fe), Anion(Cl, HCO3, SO4, CO3)となっています。
もしあなたがエクセルを使って技術的なグラフを書いているとしたら、これをきっかけに、エクセルのグラフ作成機能を使ってグラフを作るのは卒業しましょう。エクセルは、あくまでも、表計算ソフト(Spred Sheet)であって、グラフを描くソフトではありません。エクセルのグラフ機能は、あくまでも「おまけ」として考えましょう。
エクセルのグラフ描画機能の良くない点について、リストアップするとキリがありません。でも、少しだけ書いてみましょう。
専門ソフトは、これらがいとも簡単に作成できます。
グラフ作製ソフトは、有名どころでは、デルタグラフやシグマプロット、カレイダグラフがあり、この3つが技術分野で多く使われています。いずれも日本語版があり、大変高機能です。しかも技術屋さんなら直感的に操作できるので、説明書なしである程度使うこと(描くこと)ができます。
私は地質や地下水の人たちが世界的に標準として使っている、Grapherというソフトを使っています。使っているのは英語のもので、まだ日本語版は作成されていないように思います。いくつかの国々の地下水屋さんと仕事をしましたが、みなさんこのGrapherを使われていました。
※ちょっと補足します。英語のグラフソフトで、Y軸に日付を入れることができる物があります。この機能を利用しようと思っているのになぜかフォントが化けている時があります。これだから英語のソフトは使えないんじゃ、とは思わないで下さい。単純にWindowsの初期設定の問題なのです。コントロールパネルから地域のオプション、日付、カレンダーの種類で、西暦(英語)を選択して下さい。これで直ります。
有名どころ各ソフトのアカデミックパックの価格は、2002〜2003年時点で下記のようになっています。
むかしMS-DOS時代に、理系の図形ソフトとして一世を風靡していた「N-Graph」というソフトがありました。理科系の世界では、いずれの分野にかかわらず、このソフトが標準として使われていました。そうですね今で言う、表計算ソフトといえばエクセル、といった立場だったでしょうか。
現在でもこのソフトの開発が継続されており、WindowsやLinux用として、以下で公開されています。
最近になってOrigin(オリジン)がVersion8になったため、これを使い始めました。
トリリニアダイヤグラムを書くためのプラグインはまだ見つけていないため、これを描くことはできませんが、以下のグラフを書くことができます。
作図するソフトは、以下のサイトで配布されています。
これらはいずれも図化ソフトとして考えて良いものです。
作成したグラフを載せます。なお作図の元になったデータは、それぞれ同じデータではありません。
早狩氏作成のエクセルアドインによるトリリニアダイヤグラム
濱田氏作成によるエクセルのトリリニアダイヤグラム図形化ファイル
(画像が粗いのは、僕がGIF化に失敗したためです。実際はきれいです。)
Grapherによるトリリニアダイヤグラム(添付されていたサンプルデータをそのまま図化)
(僕はこれをちょっと改良して使っています)
三角ダイヤグラム(Ternary Plot, Triangle plot)を作成できるソフトウエアのリストです。
2007年になって、このAqQAというプログラムを使い始めましたが、どうも値が変なのです。自分で、手計算で計算した値と異なるのです。スペシエーション(Speciation)している状況ではなさそうですし、なんだかおかしいのですよね。
ですので、その原因がつかめるまでは、成果としては使うことは止めました。
AquaChemは、Waterloo Hydrogeologicが開発し販売しているソフトです。
買おうかなぁ〜、なんてお考えの方は、僕の感想を読んで、ぜひ参考にして下さい。
Aqua Chemは簡単に言うと、カード式データベースに、グラフ作成が付与されているものです。グラフ作成ソフトとして考えると、非常に使いにくいので、注意が必要です。
またPhreeqcのプリプロセッサーとして使おうと思っていても、使えるようになるまでに、かなり時間がかかります。
このソフトは、はっきり言って「MS-DOS時代に、dBaseで自分で作ったプログラム」と言った感じのソフトです。最近のWindowベースのソフトに慣れた方には、かなり使いにくいソフトです。所定の機能がきちんと動かない(注)ことも時々あり、この点も、使いにくさを助長しています。
さらにマニュアルも、プログラムを操作する点について説明不足な部分が随所に多数あり、かなり不親切です。
注)Windowsの標準的なソフトのつもりで使っていると、「動かない〜」と思うことが、しょっちゅう出てきます。けれど、昔のMS-DOSで作られたWindowsライクなマウス操作のソフトのつもりでいると、「ここまで動くのは、たいしたモノだ」と思って使うことができます。
ただしデータが入力されれば、基本的にはデータベースなので、データの分類などには便利です。もちろん要素ごとにグラフも作成できます(かなり面倒ですけれど)ので、この点については「かなり強いて」言えば、便利と考えて良いでしょう。
基本設計が古いため、エクセルなどの表計算ソフトから直接データのインポートが一切できません。タブ区切りのテキストファイルに直す必要があります。しかもこのインポートが非常に面倒くさいのです。
使っている人は、計算結果がとんでもない数値になるので気が付いていると思うが、Phreeqcのプリプロセッサーとして使う場合、AquaChemにはプログラム上、間違えているところがあります。それはEhです。AquaChemのEhは単位としてmVと表示されていますが、本当の入力しなければならない単位はV(ボルト)です。
AquaChemは日本語版も販売されていますが、以下の点でお薦めできません。
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