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個人携帯用積算線量計PDM-122(日立アロカメディカル)の使用感


 たぶん私と同じ業界に勤務している方は、線量の高い地域へ行かざるを得ない場合もあると思う(たとえば廃棄物や除染作業の管理とか)。
 この際に、作業場所の空間線量が0.23uSv/h(ここで「u」とはマイクロの意味)を超える場合、外部から被曝に対する管理として「個人用線量計」による測定を行うことが良いと厚労省の専門家の検討会により示されている。※

※: 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会報告書、または本報告書に基づき作成されたガイドライン(除染作業による放射線被害防止のためのガイドライン)。なお当該業務にかかる労働安全に関しては、除染等業務に係る放射線障害防止対策について(厚生労働省)のページが詳しい。この厚労省のページは、今後暫時改訂されていくので時々見ておくと良い。

 私もふとしたきっかけから線量の高い地域へ半年ほど滞在することとなり、かなり緊急的に個人用線量計を購入した。他機種と比較している時間がほとんどなかったことから、勤務先にあった各種の線量計と同じメーカー(日立アロカメディカル, ALOKA)のものを購入した。
 このページでは、購入したPDM-122(半導体式電子ポケット線量計マイドーズミニ)の使用した(している)感想を記録として残しておく。ぜひ参考にしてほしい。

欠点

まず欠点を書く。これが最も知りたいと思うことだろう。

  1. 電源をOFFにすると、積算量がリセットされる。電池を抜くのではなく、本体の電源スイッチを切っただけで、ゼロになってしまう。これは個人用積算線量計として致命的だろう。たとえ電池を抜いても、リセット動作をしない限り、積算値をゼロにしてはいけない測定器だと思うのだが。
  2. 10cm位の高さからでも、落下させると数値がいきなり変動する。鞄を床(ゆか)から持ち上げたところ、そのポケットから部屋の床(フローリング)に落ちた。その高さはおおむね10cmで、自然落下。しかしその瞬間、表示値がいきなりとんでもない値に変化。その後の積算値は、変化した値に加算されていった。他にも、下にある物を取り上げようとして、前向きにかがんだところ、胸ポケットから落ち時も、その後の値はとんでもない値に変化したこともある。外の現場で使う測定機か?これは。これは測定機として致命的だ。
  3. メーカー指定の代理店から購入したが、キャリブレーションを行った日付が、なんと半年も前のものだった。取扱説明書には、1年に1回の校正(キャリブレーション)を行うように書いてある。半年しか使えないって事なのか。こんなばかな状態で出荷するメーカーなんて聞いたことがない。メーカーの姿勢として致命的だ。放射線の災害に便乗した殿様商売をしているのは、ここでも見て取れる。
  4. 防滴構造ではないため、汗にも弱い。下に着る作業着(上着の下で、下着の上)の胸ポケットに入れているが、やっぱり汗をかく。汗の湿気を測定機に入れないように気を使わねばならない。使用状態と合わない測定機を設計して販売して、恥ずかしいと思わないのだろうか。
  5. 数値を示すLEDの窓が、本体のカバーに隠れてしまい、数値を確認する際、非常に見にくい。たとえば1uSvの数字「1」が、カバーの中に隠れてしまう。これが世界に名高い日本製として誇れる計測器なのだろうか。
  6. もう1つ表示について。数値「0(ゼロ)」の時は、表示が「0000」である。しかし、「1」になるとそのとたんに表示が「1」だけになる。しかもカバーに隠れるため、表示が消えたように見える。最初は故障したと思った。普通なら「0001」と表示させるだろう。これもメーカーの姿勢なのだろう。
  7. 携帯電話の着信により、積算数値が異常値となってしまう。携帯と一緒に胸ポケットに入れておくことができない。あるとき突然数値が数千という値を示し、かなりの精神的衝撃をうけ、焦った。携帯と一緒のポケットに不用意に入れてしまった自分が悪いのだが、現場で使用する作業条件が理解できない人が設計しているのだろう。当然のことながら、ノイズ対策を行うべき測定器のはずだ。
  8. 首掛け用の紐の穴があいていない。放射線を検知できる方向(指向性)が強いため、首に掛けてフリーにはできない発想なのだろうが、これがとにかく不便。
  9. 使い始めた初日に、電池のメモリが1減る。取扱説明書に記載してある指定メーカーの指定型番なのだが。それでも一ヶ月は保つのだが、いつ電池切れをおこすのか、不安を感じながら使わせるのは、個人の暴露を管理する測定機として、いかがなものか。
  10. 使用している電池が、なかなか買えない。被災地近傍の町なかで探したけれど、どこにも売っていない。コンビニとかで買いやすい電池で動かせることって、とても重要なことだと思うのだが、そんな視点も持っていないのだろう。

利点

特にない。強いて言えば電池が一ヶ月保つことぐらいか。

まとめ

 私はこの製品(PDM-122(日立アロカメディカル))を買うことは、絶対にお勧めしない
 測定器として、基本的な設計の考え方がなっていない。
 はっきり言う。私のこのPDM122に対する評価は、三流以下です。
 加えて、私は個人を護(まも)る測定機に対して、このような設計・出荷を行うメーカーの製品は、二度と買いたくない。

 除染等の作業に従事する場合にも、この製品は、その業務目的に適用される個人用の線量計としては、不適格/不適合と考えます。(福島駅近傍にある除染プラザには、見本としておいてあるけれど、不適合な物は、不適合です。)
 このPDM-122が測定できる放射線の強度は、ガンマー線40keV以上で、1uSv/h以上です。すなわち先の厚労省報告書にある0.23uSv/h以上の地域であっても、1uSv/hを超えない限り積算されません。低線量についての健康障害の議論がありますので、その点から見れば過剰かもしれません。しかし単純に、専門家が薦めている個人線量計に対して、この製品は「合わない」ということです。
 お薦めは、0.1uSvが測定でき、また表示もその単位でできる機種(このPDM-122の表示は「1uSv」(小数点以下無し)です)を選定することです。多少高くても。

以上。
私はかなり怒っています。


メーカーによってこんなにも違う電池の寿命

 たまたまSonyとPanasonicの電池(CR-2450)を使ってみたが、こんなにも電池の寿命が違うのかと驚いたので、記録を残しておく。
 なおいずれもPDM-122の電池残量表示が点滅に気がついたまでの日数(すなわち電池交換をした日まで)で、電池はヨドバシカメラ(東京・新宿)で購入。使用期限は数年先まで残っており、もちろん未使用(個別包装未開封)品です。使用環境は夏冬関係なく、常時身につけている状態で、S社P社とで特に使用環境に変化はありません。

ソニー(価格:\241.-/1個)

 1回目:37日(\6.51/1日)
 2回目:40日(\6.03/1日)
 3回目:41日(\5.88/1日)
 4回目:39日(\6.18/1日)
 5回目:36日(\6.69/1日)
 6回目:38日(\6.34/1日)

パナソニック(価格:\250.-/1個)

 1回目:53日(\4.72/1日)
 2回目:54日(\4.63/1日)

 

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